なにかと難易度が高い「3連符」を見ていきましょう。3連符に関しては色々な意見がありますが、誤解が多いのも確かです。この記事では正確な3連符を身に付ける練習方法も紹介します。
3連符とは
3連符とはある長さを3等分するリズムのことです。楽譜上では、
四分音符→八分音符→十六分音符・・・
とどんどん長さを半分にしていくことはできますが、1/3にすることは連符をつかわなければできません。3連符は3等分した音符全体をカッコでくくって、3と書くことによって表します。
丸括弧を用いたり、グループが分かりやすかったらカッコを省略することもあります。
誤解の恐れがなければどのように書いてもかまいません。指使いと混同しやすいので、楽譜を読むときや書くときはしっかり注意しましょう。
3連符に対する誤解
3連符を演奏するのが難しいのは確かです。その難しさをめぐって次のように語られることがあります。
・1を3で割り切ることができないから正確な3連符は不可能
1÷3=0.333…となって割り切ることができないので正確に3等分は無理、と語られることがあります。
しかし、この考えは無意味です。1÷5=0.2と割り切れるからといって、5連符が簡単なわけではありません。
なお、コンピューターミュージックの規格であるMIDIでは四分音符を480ticksという長さにするのが一般的で、3連符は160ticksと正確に3等分することができます。この場合なら、7連符は割り切れないので正確には不可能、とは言えそうです。
・日本人のDNAには3連符のリズムが無い
音楽にDNAとか血統が全く関係ないとは言いませんが、このような言説はあまり意味が無いと思ってください。1拍を3等分する曲としては「津軽海峡・冬景色」がありますね。この曲で1拍の3等分が難しくてリズムが取れない!ということはあまり起きないように思います。
・3:3:2のリズムで代用できる
3連符の代案として3:3:2のリズムを使うのが良い、と言われることがあります。
こちらの方が比較的簡単に演奏することができます。しかし、これは3連符とは異なるリズムです。
この3:3:2のリズムはロックやポップスに頻繁に登場する力強いリズムですが、逆にクラシック音楽にはほとんど登場することがありません。実際に3連符と比較してもリズムの性格が全く違うため、3:3:2に慣れてから3連符に近づけていくという練習も、逆に遠回りになっているように感じます。
3連符の練習
そのような3連符ですがどのように練習すれば良いのでしょうか。
まず、大前提として、ある拍を3等分するのは非常に難しいです。
メトロノーム無しで3等分すると、だんだん遅れていってしまう人が多いです。また、メトロノームを使うと、つじつまを合わせるために後ろの方が速くなり、結果的に3:3:2のようなリズムなってしまいがちです。そこでちょっと発想を転換させて、3連符から1拍を作ってみましょう。
均等に八分音符を「タタタタタタ・・・」と叩き続けて、2つおきにアクセントを入れて「タタタタタタ・・・」としていきます。
そして、弱い拍を鳴らない程度にすれば四分音符になり、弱い拍を鳴らせば3連符です。
このような練習をすることで、正確な3:1の感覚を身体に取り入れることができます。3:1がどんな速さでもできるようになったら、それを思い出して3連符を演奏すればOKです。
2拍3連
3連符の応用で2拍3連というものがあります。具体的には次のようなリズムです。
上のリズムを右手で叩き、下のリズムを左手で叩く練習をしてみましょう。
このリズムも慣れないうちは難しいですが、ゆっくりと細かく分解することによって身に付けることができます。まずは1拍を3等分して、次のように考えてみましょう。
上の段は右手、下の段は左手で、赤いところで叩きます。青いところを感じることによって、正確に2拍3連を叩くことができます。
右手と左手を組み合わせて、「タンタカタン」と聞こえてくるようになりますが、それでOKです。
2拍3連のリズムを体得すれば、2拍を打たないことで、ゆっくりな3連符を演奏することもできるようになり、非常に便利です。
3連符を身に付けて、楽曲に活かしていこう
3連符はゆりかごが揺れたり、振り子が揺れたりするような、横に感じるリズムであることが多く、優しかったり穏やかな印象があります。歌うときも、感情を込めやすいリズムです。一方で、拍を2分割で感じているところに突然3連符が入ってくると異質な感じがあり、曲にアクセントが入ったように感じることもあります。
3連符に似ている3:3:2のリズムは、推進力があり、力強く、2分割のままリズムによるアクセントを付けたいようなときによく使われるリズムです。3連符が横に感じるリズムだとすると、3:3:2は縦に感じるリズムです。このふたつのリズムは明確に区別して、楽曲制作や、演奏に活かしていきましょう。
なお、3連符以外の連符については以下の記事を参照してください。