マンションでも楽器の練習をしたい!24時間気兼ねなく楽器の練習をしたい!と思ったときに候補にあがるのが電子楽器(エレクトリック楽器)です。最近ではさまざまな電子楽器が出てきており、どんな楽器でも電子楽器で練習できるのではないか、と思えるほどです。
ただし、電子楽器だったとしても騒音に注意が必要な場合があります。マンションで自由に練習できると思って電子楽器を買ったのに、苦情がきて結局手放してしまった・・・なんてならないようにしたいですね。
みなさんの生活スタイルに合わせた電子楽器を見つけましょう。

3通りの電子楽器
電子楽器には大きく分けて3通りあります。
①実際の楽器の振動をサンプリングし、それを電気的に増幅する
②楽器のセンサーやスイッチに反応し、保存されている音を再生する
③スイッチで電気信号を組み合わせて、音を作り出す
①実際の楽器の振動をサンプリングし、それを電気的に増幅する
これには、エレキギターや、電子バイオリンなど、弦楽器に多くみられる機構です。弦の振動をピックアップという装置で電気信号に変えます。実際に弦が振動しているため、電源が無くても音量が小さいだけで演奏することができます。
このタイプの素晴らしいところは、電子楽器でありながら、わずかな演奏表現を取り逃さないところです。アコースティック楽器が共鳴板を鳴らして音を増幅するのに対して、こちらはアンプとよばれる装置で音を増幅します。音自体は電気信号で送られるため、エフェクターに繋いで音色を変えたりループさせたりすることができ、音楽の可能性が広がります。
アコースティックとエレクトリックの良いところどりをしている楽器といってもよいでしょう。
音量が抑えられているといっても、実際に楽器自体は鳴っているため、無音で練習というわけにはいかず、騒音に対しては注意が必要です。
②楽器のセンサーやスイッチに反応し、保存されている音を再生する
これは、電子ピアノ、電子ドラム、電子管楽器など、様々なものに採用されている、非常にメジャーなタイプの電子楽器です。電子ピアノの場合は、ホールでピアニストが1音1音強い音から弱い音までを録音し、鍵盤のタッチによってそれに合わせた音を再生してくれます。このタイプの良い点は、初心者が弾いてもプロの音色を出すことができるという点です。そして、内部的にはMIDIという規格の信号で音を操作していることがほとんどで、パソコンに繋いで作曲をするのにも向いています。
欠点としては、録音されている音が鳴るため、細かいニュアンスは表現しずらいことです。最近の技術では、ほとんど気にならなくなってきているとはいえ、機械的な印象がでてしまいます。練習用の楽器と割り切ったほうが良いケースも多いです。
③スイッチで電気信号を組み合わせて、音を作り出す
いわゆるシンセサイザーと言われるタイプの楽器です。自分で波形を作り出し、新しい音色や効果を生み出すことができます。現代の音を扱うアーティストにとってはシンセサイザーの知識は必須ともいえるでしょう。また、プログラミングとも相性がよく、PC上で複雑な計算を行ってそれを音にしたり、シンセサイザーで作った音をPCで時間的に制御し作曲をする、ということもできます。
シンセサイザーはアコースティック楽器の模倣ではなく、電子ならではの楽器で、扱うにはそれなりに知識と経験を要求されます。
おすすめ電子楽器
電子楽器をいちいち全て紹介するのは難しいので、タイプごとに紹介します。これから電子楽器を始めようという方は、探し始める前の参考にしてみてください。
電子ピアノ

電子ピアノは②のタイプ、つまり鍵盤を押したら、保存されている音を再生する、という機構になっています。とはいえ最近の電子ピアノの技術の発展はすさまじく、アコースティックピアノで起こる他の弦との共鳴まで再現できるモデルもあります。また、鍵盤のタッチもグランドピアノに近いものが次々に出てきています。
そして、電子楽器ならではの持ち運びやすさや、音色の多彩さで、ライブで使用する人も多いです。様々な機能を使いこなすと、実際のピアノよりも練習に適している、という人までいます。
電子バイオリン

電子バイオリンは①のタイプ、弦の振動を電気信号に変えて音にしています。実際の楽器の仕組みがアコースティックバイオリンと同じなのですから、練習に最適なのはもちろん、ライブにも使用することができます。メンテナンスも必要にはなりますが、アコースティックよりかは簡単です。電子バイオリンは、バイオリンをより身近な存在にした、優れモノとなりました。
エレキギター

エレキギターも①のタイプ。バンドには欠かせない、ポップス、ロックの花形です。弾き方からピックの材質にいたるまで、あらゆる要素が音色となって表れる表現力はアコースティック楽器も顔負けです。さらに世の中に数千種類とあるエフェクターを使えば自分ならではの音に。音作りから楽しめるという点でも多くのミュージシャンの心を掴んで離さない、魅力的な楽器がエレキギターです。
電子ドラム

電子ドラムは②のタイプです。ドラムの音量は飛行機のエンジン音とも並べられるほどの爆音ですから、ドラム専用の防音設備をそろえなければ自宅で練習はできません。そこで魅力的なのが電子ドラム。パッドへの打撃音だけに抑えることで、一戸建てや、通常の防音設備であれば練習が可能となりました。楽器の叩く位置による音色の変化までも表現できるモデルもあり、演奏への没入感は最高です。マンションで練習する場合は、防音マットをしっかり選び、キックペダルをスイッチ式にすることをお勧めします。それでも打撃音が壁や床を伝わることがありますので、しっかり確認しましょう。
エアロフォン

サックスを模し、電子楽器ならではの魅力も追加して作ったローランド社の人気製品、それがエアロフォンです。エアロフォンは②のタイプですが、細かい息の量までセンサーで読みとるため、アコースティックさながらの表現力を持ちます。つまみやボタンでキーの変更も簡単にできるため、サックス用の楽譜でなくても演奏できるのも強味です。電子楽器であることを割り切ったデザインは、サックスの模倣というよりかは、エアロフォンという新しい楽器だという誇りを感じさせます。
シンセサイザー

これは③のタイプの楽器です。見た目が電子ピアノと似ているため、誤って購入しないようにしましょう。シンセサイザーは、素材となる音を変形したり、重ね合わせたりしながら新しい音を作っていく楽器です。様々なタイプのものがあり、一台の楽器で音作りが全て完了するものや、他の機材と組み合わせて音を作り出すものがあります。
Wave Drum

また少し面白い楽器を紹介します。Korg社のWave Drumは、なんと①②③全ての要素を持っています。Wave drumは実際に叩いた音をサンプリングし、それを保存されている音と合成して電気信号にします。爪でひっかくような音も再現でき、スティックの質感も音色に反映されます。自分で音を作り出すことも可能です。アイディア次第でまったく新しい音楽を作り出すことができる、面白い電子楽器です。
騒音比較
ライブパフォーマンスに使うのであれば騒音は気になりませんが、自宅で練習用に使うのであれば、騒音レベルを知っておくと良いですね。以下は科学的な計測に基づいたものではありませんが、大体の目安としてご覧ください。
マンションで夜間でも可能
・エアロフォン
・デジタルサックス
電子管楽器の騒音はキーを押すときのカチャカチャという音で、壁を伝わりずらく、隣の部屋へ聞こえることはほとんどありません。もし睡眠中の人が隣にいる時に練習したら起こしてしまうかもしれませんが、自室で一人で練習する分には全く問題ないでしょう。
防音性の良いマンションなら日中は可能
・電子ピアノ
・電子バイオリン
・エレキギター
・サイレントギター
鉄筋コンクリートのマンションであれば、それなりに遮音性能があるため、通常の電子楽器で通常の演奏であれば、これらの電子楽器は可能です。電子ピアノの打鍵音は思ったより下の階に響きやすく、また電子バイオリンは壁を伝って横の部屋に音が漏れやすい点には注意しましょう。
一戸建て、日中なら可能
・電子ドラム
・Wave Drum
やはり叩く楽器に関してはどうしても音量が出てしまうため、夜間や集合住宅では避けたほうが無難です。床から下に音が伝わりやすいため、遮音マットを工夫したり、音の少ないパッドを使うことによって、防音がしっかりしているマンションなら可能な場合もあります。
電子楽器の可能性は無限大!
電子楽器を練習用として割り切る使い方もあれば、ライブ・パフォーマンスに使用したり、新たな音色を突き詰めて新曲に活かしたり、サウンドデザインに使ったりすることもできます。始めのうちは難しくて何がなんだか分からないということがほとんどだと思いますが、突き詰めればアコースティック楽器とはまた違った奥深さがあるのも電子楽器です。自分に合った電子楽器との付き合い方を探してみるのも音楽の楽しさですね。