電子ピアノでピアノを練習している方は多いと思います。そんな電子ピアノですが、全く使っていない機能も多いのではないでしょうか?すぐに役に立つ便利機能から、ちょっと遊べる機能、さらに使いこなすとプロ顔負けのサウンドまで作れる、さまざまな機能を体験してみましょう。
もしこれから電子ピアノを手に入れようと考えている方は、自分の欲しい機能が入っているかどうか確認してみましょう!
メトロノーム
ピアノの練習をするときに必須なのがメトロノームの機能ですね。ヘッドホンで練習しているときに、スマホや電子メトロノームといった別のメトロノームを使っているとなんとなくストレスですよね。筆者はイヤホンでメトロノームを聴きながらその上にヘッドホンをつける、なんてことをしていたこともありましたが、すぐに耳が痛くなってしまいました・・・。

メトロノームはほとんどの電子ピアノに標準搭載されている機能ですが、ボタン一つで操作可能なものから、ファンクションキーを押しながら指定の鍵盤を押す、といった少し複雑な操作が必要な電子ピアノもあります。

ぜひ説明書を読んで、メトロノームは絶対使いこなせるようになりましょう!
楽器変更
電子ピアノならではの楽しい遊びが、楽器の変更です。ピアノはすぐに音が減衰してしまいますが、オルガンの音色なら音が減衰せずに和音の響きを楽しめたりと、普段の練習の気分転換にもなります。いくつかおすすめの楽器を紹介します。電子ピアノによっては名称が違ったり、音色が搭載されていないこともありますのがご了承ください。
ピアノ
たいてい初期設定ではグランドピアノになっていますが、いくつかの音色が備わっている場合が多いです。

・Grand piano melow
優しく和音が溶け込むような音色になります。バラード系の曲を弾くときに使いたいです。
・Grand piano bright
ひとつひとつの音が立ち、旋律が強く響きます。輪郭がくっきりするため、練習のときに使うのもお勧めです。
・Upright piano
少し生々しい音となり、優美な感じというよりかは、無骨な感じの音色になりますが、フォークソングを弾き歌いするときなどにはピッタリの音色になります。
オルガン

・Church organ
いろんな音が混ざったように聞こえる壮大な音です。1音だけでもものすごい迫力があります。外部の伴奏にあわせて旋律を弾くときにも有効ですし、バッハの曲のようなバロック音楽を弾くときにもまるで教会で弾いているかのような気分になります。
・Rock organ
音が減衰することなく伸び続けるのが特徴ですが、音を鳴らした瞬間のアタックの音にも特徴があります。アンサンブルの中では伴奏にも旋律にも使える意外と万能な音色です。
ストリングス

曲が盛り上がってきたところに、ストリングスが入ると、さらに音が豪華になります。また、静かなシーンでのストリングスも神秘的な音色です。
電子ピアノに「レイヤー」(後述)という機能がある場合はぜひピアノの音色にストリングスの音をレイヤーしてみてください。普段のピアノの音色から、ぐっと豪華な音色になります。
ドラムセット

電子ピアノではドラムセットの音色が搭載されていることが多いです。鍵盤のひとつひとつに楽器が割り当てられており、自由にドラムを叩いているかのように演奏することができます。まずは、バスドラム・スネアドラム・ハイハットクローズの音色を探してみましょう。まずはこの3つの音でドラムの練習をしてみましょう。
スプリット・レイヤー
ここから少し上級のテクニックになってきます。一人でアンサンブルを楽しむことができる、スプリット・レイヤーという機能を紹介します。この機能は搭載されていないこともありますので、説明書を確認してみてください。
スプリット
スプリットは「割る」という意味です。鍵盤の上の方と下の方で楽器を変更することができます。たとえば伴奏(下の音域)を「ストリングス」、旋律(上の音域)を「リードギター」にしたりすると、旋律が際立って楽しいですね。ただ、この機能は少し使いこなすのは難しく、アンサンブルの中で楽器を補完するという使いかたをするのが良いでしょう。
レイヤー
レイヤーは「重ねる」という意味です。一つの鍵盤を押すことで、同時にふたつの楽器を鳴らすことができるようになります。お勧めなのは、ピアノとストリングスのレイヤーです。ピアノの歌心を失うことなく、ストリングスで響きが豪華になり、旋律も際立ちます。
トランスポーズ
トランスポーズはボタン一つで移調することができる機能です。歌の伴奏をしていて、キーが高すぎる!と言われたら、-2か-3にすることで、楽に歌うことができるようになるでしょう。また、サックスなどの移調楽器とアンサンブルするとき、たとえばE♭管のアルトサックスに合わせるときには、+3に設定することで、サックス用ではない楽譜でも演奏することができるようになります。
録音
電子ピアノには録音機能がついていることがあります。この録音機能を使うといろいろなことができます。

練習の確認
自分が弾いている音を客観的に聞くというのはなかなか難しいものです。そこで録音して聞き直すことで、手軽に客観的に聞くことができます。
多重録音
自分が演奏した録音に、重ねて演奏することで、一人でアンサンブルができます。さらにギター、ドラム、リードと楽器を使い分けると一人でバンドを演奏することも可能です。このときは、メトロノームを流しっぱなしにして、ドラム→ギターの順番で録音し、最後にメトロノームを切ってリードで旋律を演奏するのがおススメの遊び方です。
高速・低速再生
録音した演奏を高速や低速で再生することができます。多重録音をする際に、慣れていない楽器をゆっくり演奏するといったことができたり、難しい曲をゆっくり録音して、高速再生して弾けている感じを楽しむ、といったことができます。
また、速いパッセージを録音して低速再生することで、細かいところまでしっかり弾けているか確認することもできます。練習にも遊びにも使える機能です。
オクターヴシフト
88鍵盤ある電子ピアノでは滅多に使うことがありませんが、37鍵盤や49鍵盤の電子ピアノに便利なのがオクターヴシフトという機能です。ワンタッチでオクターヴ上にしたり、オクターヴ下にしたりすることができます。この機能を使うと、鍵盤が足りないときも音域を広げることができます。ただし、伴奏も旋律もオクターヴ上がってしまいますので、旋律だけ演奏するときなどで使うと良いでしょう。
この機能は、パソコンと繋いでDTM(デスクトップ・ミュージック)をするときに真価を発揮します。音を打ち込むときに、少ない鍵盤数でもダイナミックな旋律を入力することが可能です。

MIDI OUT
前の項でDTMの話が出てきましたので、ついでにDTMに必須なMIDI OUTの話もしましょう。
大抵の電子ピアノには、四角いUSB-type Bか、通常のUSBが差し込めるようになっていて、それをパソコンに繋ぐことで、MIDIキーボードとして使うことができるようになります。最近では減ってきましたが、MIDIケーブルという特殊な規格を使うものもあります。MIDIとはパソコンにとっての楽譜のようなものです。
DTMソフトで最も勢いのあるCubase、Macに標準搭載のGarageband、俄然人気のPro Tools、ループミュージックに強いAbleton Liveなど、このようなソフトを使ってDTMをするならMIDI OUT搭載の電子ピアノは必須のアイテムと言っても良いでしょう。また、FinaleやSibeliusといった楽譜作成ソフトでも電子ピアノを使うことによって高速で楽譜を書くことができます。
使い方も簡単で、電子ピアノをパソコンをUSBケーブルで接続し、MIDIを読み込むことができるソフトを開いたら、[オプション]か[環境設定]から、[MIDI IN]あるいは[入力機器]の設定項目を探すと、電子ピアノとパソコンを繋ぐ設定ができることがほとんどです。(詳しくは電子ピアノとソフトウェアの説明書を読んでください)
電子ピアノを活用しよう!
電子ピアノもひとつのコンピューターですから、完全に使いこなすのはかなり大変です。実際2~3万円の電子ピアノでも上に挙げた機能以外にもたくさんの機能が搭載されていることがあります。
まずはこの記事で挙げた機能のなかで、使ってみたい!と思った機能を探して使ってみましょう。