グランドピアノや、アップライトピアノを手に入れたら、定期的に調律が必要になります。それなりに費用も時間もかかってしまう調律は、どうやってお願いするのか、何をしてくれているのか、相場はどのくらいなのか、見ていきましょう。

調律師の仕事

ピアノは非常に複雑な機構を持った楽器で、一つの音に付き50個を超える部品から成っています。これにより、ふんわりとしたタッチから強烈に叩くようなタッチなど、さまざまな力のかかり方に対して、しっかり応えてくれます。

そして特に、ピアニストが実際に触れる「鍵盤」、弦を叩く「ハンマー」、音を作っている「弦」は重要な部品で、定期的に繊細な調整が必要です。そして、この3つの部品を調整してくれるのが調律師の主な仕事になります。

また、ピアノらしい音を作るのに必須のペダルの調整も行ってくれます。

他にも、ピアノの機構に不具合が無いか、湿度は適切か、ホコリがたまっていないか、など、今すぐに不調はでなくても、悪い影響が出そうな部分をあらかじめ検査してくれます。

調律をお願いする頻度は?

調律は、ピアノを弾く・弾かないに関わらず、年に1回は行うのが理想です。

なお、家電や車などと同じように、ピアノも使っていなければ逆に劣化は速くなります。実家に眠っている誰も弾かないピアノも、思い出したときに調律すると良いでしょう。

相当音に鋭い人でもないと、1年経ってもあまり音の違いは感じられないかもしれません。それでも、ピアノの健康診断と思って、調律はしておきましょう。

ピアノに不調が出たときは・・・

まだ1年経ってないけど、ピアノの音が狂っている、鍵盤の様子がおかしい、と思った時は、ピアノの調律師さんに相談してみましょう。ピアノの弦が切れた時など緊急時も同様です。場合によっては調律師の仕事ではない場合もありますが、その時も適切な対処法を指示してくれるはずです。

調律を予約しよう!費用・時間など

調律するのにかかる費用は、アップライトピアノで1万円~1.5万円、グランドピアノで1.5万円~2万円が相場です。もちろんサービスの内容や、出張費などで増減することもあります。初めて調律をお願いするときは、そのピアノのメーカーに相談して、調律師さんを紹介してもらうのが良いでしょう。日本にメーカーが無いような特殊なピアノの調律には、個人の調律師にお願いする必要がありますが、「メーカー名 調律」で検索すると良いでしょう。

いざ調律師をお願いするときは、次のようなことが聞かれます。

・ピアノのメーカー

・ピアノの品番(種類でもOK)

・前回の調律の時期

・ピアノの不調、特にお願いしたいこと

わからない時は、わからないと言って大丈夫です。それから調律の日時を決めます。早ければ次の日ということもあるでしょうし、遅くても一か月以内には来ていただけるでしょう。

調律には平均的に2時間、長ければ3時間かかります。その間ずっと立ち会う必要はありませんが、調律師さんがコミュニケーションを必要とするときもありますので、声の届くところで静かにしているのが理想です。非常に繊細な耳で音を聞く作業ですので、お子様がいらっしゃったり、近くで工事があったりする場合などはそれも考慮して時間を決めると良いでしょう。

終了時の試弾

調律が終了したとき、いかがでしょうか?とピアノを弾かせてくれます。慣れていないと、「何が変わったの?」と思うかもしれません。このときは、普段から練習している曲を30秒ほど気持ちよく弾いてみて、フィーリングを確かめてみましょう。変だな、と思ったら遠慮なく伝えてください。とくに違和感が無ければ良い調律です。弱音ペダル(一番左のペダル)の調整などは好みも大きいところですので、もう少しこうしてほしい、ということがあれば遠慮なく伝えてみましょう。ただし、あまりに時間がかかるような大きな変更だと、後日になったり、追加料金になる可能性もあります。そのようなことのないように、好みに関しては事前に伝えておきましょう。

演奏会・発表会の調律

いざ、演奏会を開くぞ!となったら最高のコンディションでお客さんに音楽を届けたいですよね。そのような場合は、演奏会当日の調律が必要になります。ホールのピアノの調律は月1~4回程度定期的に行われていることがほとんどですが、それでも当日にむけての調整が必要になることがあります。ホールが調律師を指定している場合や、ホール利用者が自分で調律師を用意する場合など、ホールによって違いがありますので、ホールの予約をする際に、調律について相談しておきましょう。

特殊なケース

ピアノの状態があまりにも悪かったりすると、特別料金が発生する場合があります。特別料金が発生しやすいケースとしては、次のようなものがあります。

・5~10年以上といった長い期間ピアノに触れていなかった

・非常に古いピアノである

・ピアノを大きく移動した

・極端な気温や湿度の変化にさらしてしまった

・弦が切れたなど、普段の状態から大きく外れた変化が起きた

・基準ピッチが440Hzだったところを443Hzに変えたい

これらのように、普通の使用から大きく変化してしまった時や、特殊なお願いをしたい場合は、予約の時など事前に相談しましょう。

調律って自力でもできる?

バイオリンやクラリネットなど他の多くの楽器と異なり、ピアノは非常に複雑な機構を持ち、また巨大な楽器ですので、自力で調律をするのはやめておいたほうが良いでしょう。専門的な器具が必要になるうえ、1mm以下の違いでも大きく音が変わってしまいます。少しでも変えたら、元に戻すのも至難の技です。調律を勉強したい・挑戦してみたいという場合は、適切なピアノで専門家の指導のもと行ってください。

まとめ

・演奏の多寡・ピアノの状態に関わらず、年に一回は調律を頼みましょう

・費用の相場はアップライトピアノが1万円~1.5万円、グランドピアノが1.5万円~2万円です

・調律には2~3時間かかり、開始と終了時の立ち合いと、静かな環境が必要です

・はじめて調律を依頼するときは、そのピアノのメーカー・楽器店に問い合わせるのがおすすめです

・普段起こらないような不調が生じた時も、すぐに調律師に相談しましょう