ローランド(Roland)の「エアロフォン」って、魅力的な形をしていますよね。

電子楽器であることを隠さずむしろ前面に出して、スタイリッシュに仕上がっています。電気店や楽器店で見かけると、その独特で美しい形状についつい誘惑されてしまうのではないでしょうか…。


さて、エアロフォンに引き寄せられて、うっかり手に入れてしまった皆さま。

とりあえず吹いて音が鳴ったとは思いますが、なかなかうまくコントロールできない…と思っていませんか。


エアロフォンは一般の楽器と同じように奥が深く、一朝一夕で身につくものでもありませんが、まずは基本の吹き方を抑えて、楽器と友達になるところから始めてみましょう!


完全初心者から、今週末で一気に吹きこなせるようになる無料レッスンをスタートします!


DAY1 編

①楽器を構える


エアロフォンはサックスを基調とした楽器ですので、サックスを吹いたことがある方でしたら、同じように構えていただければOKです。指使いもほとんどサックスと同じです。構えたことがない方は、次のように持ってみましょう。



左手の親指を、三日月型のオクターヴキーが二つ付いている円形の場所に置きます。

右手の親指は、サムフックに引っ掛けます


これが基本の持ち方です。ただし、これではすぐに右手親指が痛くなってしまいますので、ストラップも使いましょう。


写真のようにストラップフックにネックストラップを付け、短めに調節し、楽器を45°に傾けたときにマウスピースがちょうど口元にくるようにします。


下の歯を下唇で巻き込み、マウスピースの下に当てます。そして、上の歯をマウスピースの上に直接あてましょう。


このとき、口の両脇が開いていると思いますので、空気が漏れないように締めてあげましょう。これで、口の使い方(アンブシュア)はバッチリです。



楽器の表に、6つ大きな円形のボタンがついています。上のほうから、

左手 人差し指

中指

薬指

右手 人差し指

中指

薬指

とおいてください。小指は今は浮いていて大丈夫です。


②楽器を鳴らそう

構えることができたでしょうか。まず何もキーを押さずにこのまま吹いてみましょう。これが、ド♯の音です。



…ここで、絶対音感を持っている方(!)はびっくりするかもしれません。「これはド♯の音ではない、ミの音だ!」


サックスは専門用語では「移調楽器」といい、ドの指使いでピアノのミ♭の音が鳴ります。(これをE♭管といいます)。


もし絶対音感を持っていないのであれば今回はむしろ幸運かもしれません!ここは気にせず続けましょう。

(すでに楽器の設定を変更した方は、ToneをP:001に合わせて、Transposeが+3になっていることを確認してください)


では、次に、左手人差し指のみキーを押して吹いてみましょう。これはシの音です


ここから、指を上から順番にひとつずつ下ろしていきましょう。ラ・ソ・ファ・ミ・レまでの音は出ましたね。



これで、6つの音が吹けるようになりました!ここでガーシュウィンの名曲「サマータイム」を吹いてみましょう。


SUMMER TIME


-使う運指-





楽譜が読める方はそのまま吹いてみましょう。楽譜が読めない方は、指使いと音を照らし合わせながら、リズムは音源を聞いて覚えましょう。


…ちょっと原曲とメロディーが違う?そうかもしれません。レからラまでしか使わないように編曲してしまいました!


音楽はもともと自由なものですから、吹ける曲を楽しんで吹くのが上達のなによりの早道です!


③低いドと高いド


とはいえ、6音しか吹けないのでは少し寂しいですね。シの上のドの音を吹いてみましょう。

 ここまで7つの音を吹いてみて、お気づきの方もいるかもしれません。そう、リコーダーとほとんど同じ指使いです!サックスはリコーダーほど単純な作りはしていませんが、基本的な指使いは一緒なのです。


そして、レの下のドの音は、レの音に右手小指を付け加えるだけです。ただし、小指のキーは二つあって、下のほうを押すことに気を付けましょう。





以上で、ドからドまでの8つの音、いわゆるオクターヴを全て吹けるようになりました。1オクターヴで吹ける曲といえば、ドレミの歌ですね!



Do Re Mi


-使う運指-




Day2 編


④タンギング

エアロフォンを吹く上で、指のテクニックも大事ですが、息のテクニックも劣らず大事です。最も大事な、タンギングを身につけましょう。タンギングを使って音を出すと、切れの良い音になります。また、音を切るときにはタンギングを使うことになります。


音を発音するときに、舌を「トゥ」と言うときのように弾かせます。そして音を切るときは、「トゥ」と言う前に構えるときのように、舌を上あごに付けて息を止めます。


さて、それでは、発音よく、C ジャム ブルースを吹いてみましょう!



C Jam Blues




⑤オクターヴキー


ここまで、ドからドまでの8つの音を練習してきましたが、左手親指のオクターヴキーを使うだけで、一気に音域を倍に広げることができます!レからドの音それぞれに、オクターヴキーを付け加えて吹いてみましょう。




ここまで音域が広がれば、(あいにくまだ全部ではありませんが…)Jupiterを吹くことができます!

JUPITER









さらに♯や♭の付いた音も覚えれば(といっても5つだけです!)世の中のほとんどの旋律は吹けるようになります。




いきなり覚えるのは大変ですが、基本となるキー+何かという形がほとんどです。

例えば、ソを吹いているときに5番を押すと半音下がり、G#キーを押すと半音上がるんだな、と覚えると、比較的スムーズに身についてくるはずです。


基本のキーにどのキーを足したら良いのか、というように覚えましょう。


今回は、タンギングと指使いまででしたが、エアロフォンで表現できる音楽は非常に奥が深く、その入口を少しノックしただけです。

楽しいエアロフォンライフをスタートさせましょう!

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この記事を書いたひと:フォニム スタッフ

この記事の楽曲はすべて、初心者の方が簡単に演奏できるように編曲しています。

出演講師:Yuzu Yanashita

東京藝術大学大学院博士課程に進学。フランスでサクソフォーンの初等教育を研究し、ビギナーの育成法や教材制作のマネージメントを行うほか、音楽大学生などのサクソフォーン指導者を対象とした教育法セミナーを主催。第1回K国際サクソフォンコンクール第3位。